室井良雄 さん 2023/03/26(日) 00:18
みなさんこんにちは、バーチャル句会世話役の室井です。
第326回バーチャル句会の選句結果を発表します。
なお本句会の感想、選句御礼及びご意見等につきましては、新規の発言でこの選句結果の後に続けて下さい。
────────────────────────────────────────
句会名 第326回バーチャル句会
兼 題 「芽柳/初蝶/卒業」
兼題担当 雪絵 さん
投句期間 2023/03/12 (日) ~ 2023/03/18 (土)
投句発表 2023/03/19 (日)
選句期間 2023/03/19 (日) ~ 2023/03/25 (土)
選句発表 2023/03/26 (日)
投句者数 10 名
投句総数 30 句
選句者数 8 名
選句、コメント総数 98
世話役 室井
────────────────────────────────────────
兼題に添えて・・・ 雪絵さんより
兼題 「芽柳/初蝶/卒業」
○芽柳(柳の芽 芽ばり柳)
辛うじて芽やなぎ水にとどきけり 久保田万太郎
ほつかりと黄ばみ出でたり柳の芽 加藤 暁台
芽を吹きて柳もつるゝこと多し 高浜 虚子
○初蝶
初蝶やわが三十の袖袂 石田 波郷
初蝶を操る者のある如し 相生垣瓜人
初蝶のこぼるるばかり黄厚く 山口 青邨
○卒業(卒業子 卒業歌)
校塔に鳩多き日や卒業す 中村草田男
卒業子はや舷梯にまぎれゐる 水原秋櫻子
はだれ野の安曇に聞けり卒業歌 及川 貞
────────────────────────────────────────
[投句一覧]
001 覚束なく初蝶の生む軌跡 ミキ
002 コロナ禍のマスクを捨てて卒業す 春生
003 胸に花飾る制服卒業す 木犀
004 芽柳の影にひろげし塩むすび 雪絵
005 うさぎ小屋くまなく清め卒園す 泥亀
006 初蝶に先導さるる歩道橋 木犀
007 初蝶と瀬戸の多島美眺めをり ⑦パパ
008 そよ風に光を添へて柳の芽 木犀
009 青木だけ全部読まれる卒業証書 ⑦パパ
010 川面へと風と戯むる柳の芽 ようこ
011 海峡の際を初蝶折り返す びーどろ
012 舟唄の行き交ふ街や柳の芽 よしを
013 二番以下校歌覚えず卒業す せいち
014 微睡の肩に初蝶来てをりぬ よしを
015 芽柳や湖北の風はやや荒し せいち
016 せせらぎに足漬け潜る柳の芽 ⑦パパ
017 芽柳や日ごとに変はる風の音 泥亀
018 満ち潮のたゆたう運河柳の芽 ミキ
019 卒業の子に賜はりし師の一句 雪絵
020 初蝶や所在なさげに風の中 ようこ
021 はつてふの後(あと)をふらふら付いていく せいち
022 初蝶のひねもす風と遊びをり 春生
023 初蝶のはや菜園を見回りぬ 雪絵
024 初蝶は生きてる限り飛ぶ力 泥亀
025 水門の閂かたく柳の芽 びーどろ
026 水張つて遊行柳を芽吹かせむ 春生
027 それぞれが真顔つくりて卒業す よしを
028 黒板の相合傘や卒業す ようこ
029 卒業歌渡り廊下に人の影 ミキ
030 花束抱き遮断機に待つ卒業子 びーどろ
────────────────────────────────────────
[投句者一覧] 10 名 敬称略
⑦パパ せいち びーどろ ようこ
よしを ミキ 春生 木犀
泥亀 雪絵
────────────────────────────────────────
[選句一覧]
30 句の作品に対するさまざまな読みをお楽しみください。
────────────────────────────────
001 覚束なく初蝶の生む軌跡 ミキ
────────────────────────────────
コ びーどろ
やや理屈が勝っている感じ。
コ 渡邉春生
「覚束なく」の語が的確。
────────────────────────────────
002 コロナ禍のマスクを捨てて卒業す 春生
────────────────────────────────
コ 渡邉春生
今年の卒業生はマスクの三年間でした。友達の顔もちゃんと知らないでここまで。卒業
式にはマスクを外せてよかったです。
コ 雪絵
この時期の時事俳句にぴったりですね。
────────────────────────────────
003 胸に花飾る制服卒業す 木犀
────────────────────────────────
選 ようこ
喜びが伝わってきます。
選 よしを
女学生ですね。胸の花が卒業生の表情や感慨を伝えてくれます。
コ 渡邉春生
正々堂々としています。
コ 雪絵
初々しい情景が浮かんで来ます。
────────────────────────────────
004 芽柳の影にひろげし塩むすび 雪絵
────────────────────────────────
選 ⑦パパ
農作業の一休みでしょうね。長閑です。
選 びーどろ
女性の句か? 男性だと、握り飯。芽柳の影の優しさと塩むすびが合っている。
選 よしを
公園で弁当を囲む家族かな?
おむすびを頬張る笑顔が見えるようです。
選 渡邉春生
爽やかな昼餉ですね。
自 雪絵
時々親水公園で子供たちの遊びを見ながらお弁当を広げます。
────────────────────────────────
005 うさぎ小屋くまなく清め卒園す 泥亀
────────────────────────────────
選 ようこ
うさぎへの愛情が感じられます。発想がユニーク。
選 雪絵
子供達の名残惜しさまでが覗えます。
コ せいち
コメント、うさぎと卒業(園)よく見る取り合わせで、類句かと思います。
コ 渡邉春生
飼育係だったのでしょうか、ウサギを愛した園の生活でした。
────────────────────────────────
006 初蝶に先導さるる歩道橋 木犀
────────────────────────────────
選 ⑦パパ
そう感じること多いですよね。
選 せいち
先導されていると捉えたところが楽しい。歩道橋を渡るのも苦にならないだろう。
コ 渡邉春生
遠足の風景でしょうか?
────────────────────────────────
007 初蝶と瀬戸の多島美眺めをり ⑦パパ
────────────────────────────────
選 せいち
きっと高台からだろう。きらめく海光を受けて。
選 びーどろ
広々とした瀬戸内海の景が目に浮ぶ。そばには、初蝶。
コ 渡邉春生
風光明媚なところですからね。
コ 雪絵
うららかな日和まで感じられます。
自 ⑦パパ
自句)呉市の野呂山での実体験です。瀬戸内海を眺めていると視界に蝶が舞い、絵画の
ような瀬戸内海をいかにも蝶が描いているように感じました。
────────────────────────────────
008 そよ風に光を添へて柳の芽 木犀
────────────────────────────────
選 ⑦パパ
光を添えて、が綺麗でした。
コ 渡邉春生
季語「柳の芽」の域を出ていません。
────────────────────────────────
009 青木だけ全部読まれる卒業証書 ⑦パパ
────────────────────────────────
選 せいち
「以下同文」を逆手に取った句。卒業証書青木だけみな読まれ、とも出来ますが原句の
方が断然いいです。字余りは気になりません。
選 ミキ
おもしろい回想。こちらは阿部でした。
コ ようこ
確かにそうですね。
コ 渡邉春生
アイウエオ順の席順では、こうなるんですね。
コ 雪絵
思いつかない愉快なお句に納得です。
自 ⑦パパ
自句)「以下同文」は多い発想で類想であろうと思い、以下同文を他の表現で探してみ
ました。出席番号1番は青木、2番は青山でした。
────────────────────────────────
010 川面へと風と戯むる柳の芽 ようこ
────────────────────────────────
選 ミキ
水辺の柳が芽吹くころの穏やかな光景ですね。
選 雪絵
芽柳の風情はいいですね。
コ 渡邉春生
季語「柳の芽」の域を出ていません。
自 ようこ
自句です。少し付き過ぎかもしれません。
────────────────────────────────
011 海峡の際を初蝶折り返す びーどろ
────────────────────────────────
選 ⑦パパ
「際」「折り返す」がとてもきれいな措辞です。
選 雪絵
大小の対比情景に惹かれました。
コ 渡邉春生
情景が見てて来ません。
自 びーどろ
海峡の際(きわ)まで来て、しばらく飛んだあと、海峡を渡らず折り返した
という。
────────────────────────────────
012 舟唄の行き交ふ街や柳の芽 よしを
────────────────────────────────
選 せいち
すぐに代表として柳川が浮かびました。
選 びーどろ
九州の柳川、松江、佐原あたり? 町、の方がいいか?
選 ようこ
旅に出かけたくなります。
選 渡邉春生
水郷風景ですね。雰囲気が出ました。
選 雪絵
何となく昭和のロマンを感じますね。
────────────────────────────────
013 二番以下校歌覚えず卒業す せいち
────────────────────────────────
選 ⑦パパ
類想のようで誰もがあえて詠まなかったが、だれも詠んでいないので類想句ではない。
コ ようこ
改めて思い出してみると、その通りです。
コ 渡邉春生
特に今年の卒業生は校歌を歌う機会が少なかったですからね。
自 せいち
自句、これは事実であっても、俳句として詠むものではないのかも知れません。
────────────────────────────────
014 微睡の肩に初蝶来てをりぬ よしを
────────────────────────────────
選 渡邉春生
いい雰囲気です。天国。
選 雪絵
ベンチでの微睡みでしょうか、陽の温もり迄伝わって来ますね。
────────────────────────────────
015 芽柳や湖北の風はやや荒し せいち
────────────────────────────────
選 渡邉春生
こんな感じです。うまく捉えています。
コ 雪絵
この頃の風は時々荒い日が有りますね。
────────────────────────────────
016 せせらぎに足漬け潜る柳の芽 ⑦パパ
────────────────────────────────
コ 渡邉春生
「足漬け潜る」のは誰?
自 ⑦パパ
自句)子供らと裸足で小さなせせらぎを歩いた時を思い出しました。
────────────────────────────────
017 芽柳や日ごとに変はる風の音 泥亀
────────────────────────────────
選 ミキ
いまどき、けっこう風が強いので大変。
コ 渡邉春生
日々変化していますからね。
────────────────────────────────
018 満ち潮のたゆたう運河柳の芽 ミキ
────────────────────────────────
選 びーどろ
海と直結している運河ですね。汽水域のような。
選 よしを
風情のある運河ですね。おそらく都会の河川を利用した運河ではないでしょうか。
運河沿いには柳並木や遊歩道などもあって、ジョギングをする人や、岸辺で寛ぐ人がい
るような気がします。
選 渡邉春生
蔵屋敷の並ぶ風格のある街、俳句も格調高いです。
選 雪絵
美しい景色ですね。
────────────────────────────────
019 卒業の子に賜はりし師の一句 雪絵
────────────────────────────────
選 ようこ
一生の思い出になります。
コ 渡邉春生
うらやましいです。
自 雪絵
今度中学になる曾孫が、先生から俳句をいただいたと喜んでいました。
────────────────────────────────
020 初蝶や所在なさげに風の中 ようこ
────────────────────────────────
コ 渡邉春生
中七「所在なさげに」がうまい。
コ 雪絵
初蝶も慣れない風景に戸惑っているのでしょうね。
自 ようこ
自句です。初蝶と風の取り合わせはよくありますね。
────────────────────────────────
021 はつてふの後(あと)をふらふら付いていく せいち
────────────────────────────────
コ 渡邉春生
作者も初蝶になった気分。
────────────────────────────────
022 初蝶のひねもす風と遊びをり 春生
────────────────────────────────
コ 渡邉春生
実際は蜜を集めているのでしょうが、初蝶はこんな感じでした。
コ 雪絵
うちの庭にも暖かな日には消えたり現れたりしています。
────────────────────────────────
023 初蝶のはや菜園を見回りぬ 雪絵
────────────────────────────────
選 びーどろ
あるかどうか分からないが、初蝶の高揚感みたいなものが。
選 よしを
下五で無心に飛び交う初蝶の情景が立ち上がってきました。
コ 渡邉春生
「見回るぬ」がおもしろい。
自 雪絵
もう畑のあちこちに蝶が飛んでいました。
────────────────────────────────
024 初蝶は生きてる限り飛ぶ力 泥亀
────────────────────────────────
コ 渡邉春生
その通りです。人もまた。
────────────────────────────────
025 水門の閂かたく柳の芽 びーどろ
────────────────────────────────
選 渡邉春生
硬軟の対比がうまい。
コ 雪絵
水門の閂と柳の柔らかさの対比の視点がいいですね。
自 びーどろ
隅田川の分流(運河)の景。
────────────────────────────────
026 水張つて遊行柳を芽吹かせむ 春生
────────────────────────────────
選 せいち
田一枚植える用意は出来ました。西行さん芭蕉さんを呼ぶために。
選 よしを
栃木県芦野の遊行柳ですね。
芭蕉を始め多くの俳人、歌人にゆかりのある遊行柳の情景が、格調高く詠まれています
。
選 ミキ
那須の遊行柳、田植あとの緑一色の中にひときわ瑞々しく鮮やかだった。
懐かしく思い出します。
コ 渡邉春生
栃木県那須町 遊行柳の景です。
────────────────────────────────
027 それぞれが真顔つくりて卒業す よしを
────────────────────────────────
コ 渡邉春生
当たり前のような気がします。
コ 雪絵
喜びと別れの入り混じった心境の卒業子の姿が浮かんで来ました。
────────────────────────────────
028 黒板の相合傘や卒業す ようこ
────────────────────────────────
選 ⑦パパ
誰が書いたんだろう?自分、いや友達のいたずらでしょうね!
選 せいち
この卒業の句は初めてだ、楽しいですね。黒板「の」は「に」でも良いかも?
選 びーどろ
やや類想は感じるが、可愛らしい。
選 よしを
友達の悪戯か、それとも本人の告白なのかは判りかねますが、ささやかな黒板アートで
すね。
コ 渡邉春生
そうあってほしい、という気持ちかな?
コ 雪絵
こんな愉快なことも有りましたね。
自 ようこ
自句です。相合傘を書いておくか消すかはそれぞれの判断です。
────────────────────────────────
029 卒業歌渡り廊下に人の影 ミキ
────────────────────────────────
コ ようこ
人の影が今一つわかりませんでした。
コ 渡邉春生
今一、情景が見えません。
────────────────────────────────
030 花束抱き遮断機に待つ卒業子 びーどろ
────────────────────────────────
選 ようこ
光景が目に浮かびます。反対側で待っているのは誰でしょうか。
コ 渡邉春生
早く子の花束を見せたいのに、って気持ち。
コ 雪絵
抱いた事のない花束嬉しいでしょうね。
自 びーどろ
淡々とした見たままの景。
────────────────────────────────────────
[選句者一覧] 8 名 敬称略
⑦パパ せいち びーどろ ようこ
よしを ミキ 渡邉春生 雪絵
────────────────────────────────────────
第326回バーチャル句会 選句得票記録
[選句得票数順作品一覧]
012 舟唄の行き交ふ街や柳の芽 よしを 選 5 コ 0
004 芽柳の影にひろげし塩むすび 雪絵 選 4 コ 0
018 満ち潮のたゆたう運河柳の芽 ミキ 選 4 コ 0
028 黒板の相合傘や卒業す ようこ 選 4 コ 2
026 水張つて遊行柳を芽吹かせむ 春生 選 3 コ 1
003 胸に花飾る制服卒業す 木犀 選 2 コ 2
005 うさぎ小屋くまなく清め卒園す 泥亀 選 2 コ 2
006 初蝶に先導さるる歩道橋 木犀 選 2 コ 1
007 初蝶と瀬戸の多島美眺めをり ⑦パパ 選 2 コ 2
009 青木だけ全部読まれる卒業証書 ⑦パパ 選 2 コ 3
010 川面へと風と戯むる柳の芽 ようこ 選 2 コ 1
011 海峡の際を初蝶折り返す びーどろ 選 2 コ 1
014 微睡の肩に初蝶来てをりぬ よしを 選 2 コ 0
023 初蝶のはや菜園を見回りぬ 雪絵 選 2 コ 1
008 そよ風に光を添へて柳の芽 木犀 選 1 コ 1
013 二番以下校歌覚えず卒業す せいち 選 1 コ 2
015 芽柳や湖北の風はやや荒し せいち 選 1 コ 1
017 芽柳や日ごとに変はる風の音 泥亀 選 1 コ 1
019 卒業の子に賜はりし師の一句 雪絵 選 1 コ 1
025 水門の閂かたく柳の芽 びーどろ 選 1 コ 1
030 花束抱き遮断機に待つ卒業子 びーどろ 選 1 コ 2
001 覚束なく初蝶の生む軌跡 ミキ 選 0 コ 2
002 コロナ禍のマスクを捨てて卒業す 春生 選 0 コ 2
016 せせらぎに足漬け潜る柳の芽 ⑦パパ 選 0 コ 1
020 初蝶や所在なさげに風の中 ようこ 選 0 コ 2
021 はつてふの後(あと)をふらふら付いていく せいち 選 0 コ 1
022 初蝶のひねもす風と遊びをり 春生 選 0 コ 2
024 初蝶は生きてる限り飛ぶ力 泥亀 選 0 コ 1
027 それぞれが真顔つくりて卒業す よしを 選 0 コ 2
029 卒業歌渡り廊下に人の影 ミキ 選 0 コ 2
────────────────────────────────────────
次回バーチャル句会のお題担当と開催日程について
句会開催案内の第11項に記載しているように、バーチャル句会のお題担当は前回の句会の「最高得票句の作者」が当たることになっています。
したがって次回(第327回バーチャル句会)のお題担当者は、私「よしを」となりますので、規定に従い、お題担当を引き受けさせていただきます。
なお、次回(第327回バーチャル句会)の開催日程は次のように予定していますので、ご承知おきください。
句会案内発表 2023/04/08 (土)
投句期間 2023/04/09 (日) ~ 2023/04/15 (土)
投句一覧発表 2023/04/16 (日)
選句期間 2023/04/16 (日) ~ 2023/04/22 (土)
選句結果発表 2023/04/23 (日)
────────────────────────────────────────
以上